オリンパスのXZ-10はオリンパスの高級コンパクト機シリーズのいちばん下のグレードをになう新モデルとして2013年に登場しましたが、すでに製造終了しています。残念なことに、XZシリーズはすべて消えて、オリンパスは現在ではレンズ一体型モデルはStylus1sを作るのみとなっています。
価格が倍以上するStylus1と比べれば画質が劣るのは否めませんが、このサイズ、グレードのコンパクト機としては大変よくできていて、2017年夏の今でも、私の腰には常時XZ-10がぶら下がっています。
XZ-10を買う前は、私の常用カメラ(いつどんな被写体を見つけてもいいように常に身につけている)は、SONYのWX1~パナソニックのLX3~同・LX5~フジフィルムXF1……と変遷してきました。
WX1はコンパクトなのがよかったのですが、何せ画質が悪すぎました。
LX3、LX5は1/1.63型CCD。XF1は2/3型CMOS。画質は甲乙つけがたく、結局は、LX3の欠点だった望遠が利かない点をLX5がカバー、LX5の欠点だったレンズの出っ張りで持ち歩きがおっくうなのをレンズが引っ込むXF1がカバー……というように、ちょっとの差での入れ替わりでしたが、今回、XZ-10はそれまでの3モデルと比べても負けない「きれいな写真」が撮れるということでの入れ替わりになりました。
使い始めたときは、1/2.3型という小さなCMOS機できれいな絵作りができることに相当驚かされました。
このCMOSはSONY製ですが、2012年あたりからCMOSの性能が一気に上がったことを実感します。
↑今まで常用カメラの座にあったフジフィルムのXF1、「小さいカメラ」として一時期お散歩カメラとして使っていたSONYのWX-1と並べてみたところ。
大きさは考えていたよりありました。特に厚みが。XF1のほうが薄いのはちょっとがっかり。
しかし、これは望遠端でも明るい大口径レンズを搭載した代償なのですね。そう思えば我慢できます。
プラス評価:
- 小さな撮像素子なのに発色や解像感がよい
- 特にマクロ撮影に強い。望遠でもかなり寄れる
- 望遠端(130mm相当)でもF2.7という明るいレンズで、場所・状況を選ばずきれいな絵になる
マイナス評価
- 起動・格納・連写が驚くほど遅い
- ホールド性がよくない
- ボディが分厚くて意外と携帯性が悪い
- 液晶モニターがタッチパネルなので、左下のセンサーを触っているとAFもシャッターも動かない(OFFにすることで解決)
- 電動ズームが使いづらい(レンズ周りのリングをズームリングにしてくれたらよかったのに)
- ストラップ穴が右側にしかないので首からぶら下げたときにバランスが悪い
- Menu画面の設計が分かりづらい(撮影関連がなぜか工具マーク項目にいっぱい入っている)
- バッテリーの減りが早い
- 充電器が付属してこない
- デザインがありきたりで一世代昔のカメラのよう
- フラッシュをOFFにしていてもフルオートモードでは勝手にフラッシュが出てしまう
- MFができないので、マクロ撮影では撮影可能距離内の小さな被写体が抜けてしまう
- 明るい屋外では液晶モニターが見づらい(コンパクト機全般に言えることだが……)
欠点も目立つのですが、想像以上にきれいな写真が撮れるという満足度は高い、つき合えばつき合うほどじわ~っとよさが分かってくるカメラです。
XZ-1ではがっかりさせられたので、それより小さなXZ-10がここまで健闘するとは、正直びっくりしました。
詳細なテストの様子は⇒「のぼみ~日記」にて
とりあえず1台買っておきたい
XZ-10は、コンパクト機では望遠端が130mm相当とかなり頑張っているのにその望遠端でもF2.7という驚異的な明るさを誇っていることが最大の売りです。
この明るいレンズの恩恵は計り知れず、夜の撮影ではびっくりするほどの威力を発揮します。
100mm相当くらいでもかなり寄れるのも、他のコンパクト機では真似のできないところでしょう。最近ではコンパクト機にも1/1.7型や2/3型(フジフィルムのモデル)、1型などの大きめのCMOSを搭載した高級機がいくつも出ていますが、それらは撮像素子が大きいゆえにマクロは広角端でしか使いものにならないという弱点も抱えています。また、曇天や屋内などの場所で望遠側で撮影をするとレンズが暗く、手ぶれしやすいというのも弱点です。XZ-10はそうした状況下でもピシャッとした写真が撮れるので、後から「ほお~」と感心させられることが多いです。
2017年夏時点で、XZ-10に比較できるコンパクト機は見あたりません。フジフィルムのXQ2がいちばんのライバルでしたが、これも製造終了、後継機出ずとなってずいぶん時間が経ちました。XQ2はかつてのXF1とほぼ同じスペックですから、マクロが意外と弱いといった欠点も同じでしょう。ニコンのP340も製造終了していますし、P340は望遠端が暗いのでXZ-10のような使い勝手は期待できません。
そんなXZ-10ですが、製造終了してかなりの時間が経ちました。よほど売れなかったのか、2017年夏時点でもアマゾンでは新品を売っていました(残り1台)。しかし、一時は1万円台まで下がっていた価格は3万円近くまで上がっています。これを逃すともう新品では手に入らないでしょう。
後継機種が出るとも思えません。オリンパスは企業の経営状態がよくないので、カメラ部門はどんどん縮小しています。フォーサーズの提唱者であるだけに、マイクロフォーサーズのミラーレス機だけは残していますが、今やレンズ一体型最後の雄だったStylus1sも製造終了。おそらく意欲的なコンパクト機をもう一度開発・製造・販売する力は残っていないでしょう。
最新型を作り続けているCanonのG9XやSONYのRXシリーズに比べても、マクロ写真の撮りやすさなどでは勝っている部分があります。
買えるうちに1台買っておきたいカメラです。