たくき よしみつ の たくき よしみつ(鐸木能光)のデジカメ・ガバサク談義 ガバサク

SONY HX-90Vで月を撮る

HX-90Vを入手して1年以上経過しました。
クセの強いカメラですが、長所と短所をしっかり理解した上で、使い方を工夫すれば、他のカメラではできない楽しい写真が撮れます。
特に、生きものや草花が少なくなる冬の散歩では最強の「お散歩カメラ」ですね。
今までも何度か使いこなしや作例をあげてきましたが、また追加しておきます。

おさらいしておくと、HX-90Vの弱点は、 ……ということです。
室内撮影や夜の撮影ではレンズの明るいXZ-10などに負けます。
即応性や万能という点ではStylus1に負けます。
しかし、明るい屋外での超望遠撮影では圧倒的な威力を発揮するので、楽しい写真が撮れます。

夕方の月の写真


↑163mm相当、F5.6、1/320秒、ISO:80、WB:曇り


↑720mm相当(望遠端)、F6.4、1/320秒、ISO:80、WB:曇り


↑600mm相当、F6.3、1/250秒、ISO:80、WB:曇り



↑189mm相当、F5.6、1/250秒、ISO:80、WB:曇り



↑720mm相当(望遠端)、F6.4、1/250秒、ISO:80、WB:日陰

HX-90Vは画素ピッチが小さいため色味が浅いので、ホワイトバランスはAUTOにせず、晴れ、曇り、日陰を使い分けましょう。晴れている屋外でも「曇り」に設定すると色味が濃くなります。黄葉・紅葉などは思いきって「日陰」に設定すると印象的な写真に仕上がります。
望遠端での動画性能もかなりのもので、↓この程度には映ります。ポケットサイズなのでこの倍率では手持ちでは揺れてしまってなかなか厳しいですが……。

Stylus1とHX-90Vの望遠端対決

望遠端が300mm相当で1/1.7型センサー、全域F2.8の「万能機」Stylus1と比較すると↓こうなります。

↑Stylus1 28mm相当(広角端)、F3.5、1/320秒、ISO:100、WB:曇り


↑HX-90V 24mm相当(広角端)、F3.5、1/160秒、ISO:80、WB:曇り



↑Stylus1 300mm相当(望遠端)、F3.2、1/640秒、ISO:100、WB:曇り



↑HX-90V 720mm相当(望遠端)、F6.4、1/250秒、ISO:125、WB:曇り

同じ場所・時間で月を広角端と望遠端で撮ってみた写真です。光学ズーム端の倍率が倍以上違うので、同じサイズで比較すると月の大きさがまったく違うのは当然ですが、他には空の色がだいぶ違うのが気になりますね。

この望遠端で撮った写真の月の部分だけをトリミングして原寸大にしてみると↓こうなります。

↑Stylus1 300mm相当をトリミング


↑HX-90V 720mm相当をトリミング

Stylus1とHX-90Vでは画素数も違う(1200万画素と2110万画素)ためこうなります。
比較しやすいようにほぼ同じサイズに揃えてみます↓

↑Stylus1  ↓HX-90V

これだとあまり差を感じないのではないでしょうか。
ついでに、上のトリミング画像をIrfanViewでサクッと補整してみたのが↓これです。

↑Stylus1 トリミング後、IrfanViewで補整


↑HX-90V トリミング後、IrfanViewで補整

月食を撮る

2021年11月19日、ほぼ皆既月食というシーンがありました。あいにく、欠け始めからピーク時くらいまでは雲に隠れて見えませんでしたが、ピーク時直後くらいから雲が切れてきて、なんとか撮ることができました。
以下、すべてHX-90Vで手持ち撮影です。

↑18.16時点 720mm相当(望遠端)、1/6秒、F6.4、ISO:3200、WB:日陰

↑19.25時点 1/2000秒、F6.4、ISO:3200、WB:日陰

↑20.07時点 1/2000秒、F8.0、ISO:3200、WB:日陰

手のひらに収まるコンパクトカメラで月食をこれだけ撮れれば十分でしょう。フルサイズの高級機でも、720mm相当のレンズなんて現実的には所有できませんから、望遠鏡に取り付けて三脚固定という重装備で臨まなければなりません。しかし、HX-90Vなら、外出中にふと空を見上げて「あ、月食だ。撮っておこう」と、手持ちでシャッターを切ってもこの程度には写るのです。他のカメラでは到底真似できませんね。

SONY HX-90V


102.0 x 58.1 x 35.5mm 245g
 この大きさに光学24-720mm相当の超望遠ズームレンズを搭載したというモデル。野鳥などを撮るとその威力に感動しますが、普通の使い方ではレンズの暗さやセンサーの小ささが影響して、「まあまあ」程度の絵にしかなりません。最短撮影距離が長いので、望遠マクロ的な撮影も苦手で、昆虫や花などをマクロ的に撮ることが多い人にはお勧めしません。小さいのにファインダーがあり、DMF(AFとMFを併用してピント合わせする機能)などもありますが、使いこなしにはコツが必要です。しかし、いざというときのズームの威力、特に超望遠での動画性能のよさは、他のモデルでは真似できない特別な存在といえます。
新品がほぼ入手不可能状態ですが、程度のよい中古がAmazonで2万円台からかなりの数出ています。
SONY HX-90V をAmazonで購入で捜してみる
⇒SONY HX-90Vというカメラ
⇒SONY HX-90Vでの写真制作実例
⇒続・HX-90Vをお散歩カメラにする
⇒SONY RX100ⅢとHX-90V 実写比較
⇒パナソニックLX100とSONY HX-90Vの2台持ちで散歩する

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