たくき よしみつ の たくき よしみつ(鐸木能光)のデジカメ・ガバサク談義 ガバサク

オリンパス Stylus1は「これ1台」の決定打かもしれない

「てのひらサンニッパ」だけでは言い尽くせない魅力

2013年末にオリンパスからStylus1というレンズ一体型カメラが出て話題を集めました。今は初代機は製造終了し、後継機のStylus1Sになっています。
「てのひらサンニッパ」といううまいキャッチフレーズからも分かるように、望遠端300mm相当でも開放F値2.8という明るいレンズが売りのカメラです。
もちろんこの「300mm相当でもF2.8」はすごい魅力ですが、基本的には今までのカメラの「こうだったらいいのにな」をこれでもかというほど実現した「万能性」こそが最大の魅力でしょう。
さすがにポケットに入れたり腰に常時ぶら下げておくほどは小さくはありませんが、これまでの超広域ズームを搭載した中型カメラよりははるかに小さく、軽く、「コンパクト機」と呼べなくもない程度の大きさに収まっています。
レンズキャップが開閉式で、いちいちキャップを取り外さなくてもいいのも嬉しいし、ズームがレバー式ながら、右手側、左手側両方についていたり、液晶がチルト式であるばかりか、電子ビューファインダーもついていて、あらゆる撮影ポーズが可能。
300mm相当でも80cmまで寄れる「望遠マクロ」も可能。今はやりのWi-Fi機能も搭載してスマホとの連動もできる……とまあ、これ一台でなんでもできそうだというカメラです。
撮像素子は1/1.7型で大きくはないのですが、この小ささゆえに300mm相当でもF2.8が実現したので仕方ありません。
また、レンズシャッターなのでシャッター音がほとんどしませんから、音をたててはいけない場面でも大丈夫。(これは実に大きなポイント)

私がこのカメラが「最終決定打」かなと思う根拠は、今私が常用しているコンパクト機XZ-10の出来のよさにあります。
XZ-10は1/2.3型CMOSで、本来ならガバサク流としてはこんな小さな撮像素子のカメラは信用できないと言いたいところですが、その予測を裏切って、2/3型CMOSを搭載するフジフィルムのXF1やX-S1に負けない、いや、レンズの明るさゆえに場合によってはXF1などより「きれいな」写真が撮れてしまうのですね。
オリンパスはもともとフォーサーズ機の作りのよさに感心させられていましたが、価格の高さや、フォーサーズでは背景がぼけきらないとか、レンズが少ないといった弱点があって、自分では使おうと思いませんでした。
しかし、XZ-10の出来がいいので、これはオリンパスがレンズ一体型モデルに本気を出してきたぞと期待していたところに出てきたのがこのStylus1だったわけです。
しかし、その後、オリンパスも経営状態が相当苦しいのか、レンズ一体型カメラはどんどん製造終了にしてしまい、現在(2015年3月)では高級コンパクトはStylus1sだけになってしまいました。

コンパクト機としては大きいが、性能を考えたらベストな選択

問題は価格だけ

私自身は、Stylus1を手に入れた後も、日常の日記カメラとしてはXZ-10も併用しています。画質は明らかにStylus1のほうがいいのですが、常時身につけておくには大きすぎるからです。
家のそばに野鳥が飛んできたりしたときには超望遠ズームがきくフジのX-S1を持ち出したり、ここぞという高品質な写真を撮りたいときにSONYのミラーレスNEX-5Rを使ったりもしますが、XZ-10を常時腰にぶら下げていることもあり、XZ-10でいいや、という写真はXZ-10ですませています。
XZ-10は望遠端でもF2.7という明るさが強みで、コンパクト機としてはかなりの望遠が効きますし、マクロにも強いのでお散歩カメラとしては最強かなと思いますが、いい写真が撮れたときほど「あともう1ランク高品質な画質ならなあ」と思うことがよくあります。ですから、普段はXZ-10を腰にぶら下げていてパッと見つけたシャッターチャンスを逃さないようにし、今日は写真を撮るぞ〜という気合いの入った日にはStylus1を持って出るというスタイルです。
おかげでミラーレスや一眼レフの出番は激減しました。
問題は価格だけですね。後継機のStylus1sが出た前後は4万円近くまで下がりましたが、今(2015年3月)はまた4万円台後半で、sのついた新型との価格差がほとんどなくなってしまいました。今後も大きく値崩れすることはないように思います。



Stylus1で撮影した写真

今、のぼみ〜日記はオリンパスXZ-10とStylus1を併用しています。
⇒このへんのページから、XZ-10との画質比較などが出ています。


Stylus1 vs P7800

このカメラのライバル機はNikonのCOOLPIX P7800で、おそらく同じCMOS(SONY製? 1/1.7型 約1200万画素)を使っています。P7800のほうはレンズがF2-4で28-200mm相当。広角端ではStylus1より明るく、望遠端では暗い。望遠端もStylus1が300mm相当なのに対してP7800は200mm相当。どちらも電子ビューファインダー付きで、Stylus1が約144万ドットに対してP7800は約92万ドット。重量・寸法はStylus1が116.2mm × 87mm × 56.5mmで本体約402g。P7800は118.5×77.5×50.4mmで399g。微妙にP7800のほうが小さいかな、という感じ。あとは使いやすさと画質と価格の比較になりますが、好みで選べばいいでしょう。
P7800の最安値は4万円を切っていることがあるので、価格差が1万円つくと、Stylus1かP7800かちょっと迷いますね。

機種名撮像素子面積
最高解像度
レンズファインダー/モニターシャッター速度本体重量その他・備考

オリンパス Stylus1


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1/1.7型
3968×2976
(有効画素数
約1200万画素)
F2.8(全域)
6-64mm
(約28〜300mm)
アイレベル式電子ビューファインダー/約144万ドット
3.0型可動式液晶モニター、約104万ドット(3:2)、タッチパネル
1/2000〜60秒 116.2mm × 87mm × 56.5mm
本体約402g
(バッテリー、メモリーカード含む)
「これ1台でなんでも撮れる」高性能万能小型カメラの決定版。連写は7コマ/秒で最大70コマ(JPEG)。フルHD/HD:MOV(MPEG-4AVC/H.264)、HS:AVI(Motion JPEG)で動画性能も万全。ステレオマイク内蔵。Wi-Fi内蔵。GPS内蔵端末とWi-Fi接続すると位置情報取り込み可能。
★後継機種のStylus1sもほぼ同じスペック。

機種名撮像素子面積
最高解像度
レンズファインダー/モニターシャッター速度本体重量その他・備考
P7800
Nikon COOLPIX P7800


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1/1.7型
4000×3000
(有効画素数
約1200万画素)
F2.0-4.0
6-42.8mm
(約28〜200mm)
電子ビューファインダー/0.2型液晶、約92万ドット
広視野角3型TFT液晶モニター、反射防止コート付き、約92万ドット(RGBW)、輝度調節機能付き(6段階)、バリアングル方式
1/4000〜60秒 118.5mm × 77.5mm × 50.4mm
本体約399g
(バッテリー、メモリーカード含む)
おそらくStylus1と同じCMOSにズーム比の若干小さなレンズを組み合わせたライバルモデル。大きさ・重さはほぼ同じだが、電子ビューファインダーの解像度はStylus1のほうが上。連写は約8コマ/秒だが最大6コマ(JPEG高画質)。解像度を1280×960に落とすと約120コマ/秒で60コマ連写が可能。フルHD動画可能。Wi-Fi、GPSは別売オプション。


     

Stylus1とStylus1s はほぼ同じスペックなので、価格差を考えて選べばよいでしょう。P7800も後継機種が出ないかもしれないので、買い時かもしれません。XZ-10はおそらく後継機種は出ないので、底値になっているときに買っておいて損はありません。

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